【1月26日】月桃香るムーチーで、みんなの一年に健康祈願

こんにちは、薬草家の源さんです。

今年の1月26日は旧暦にすると12月8日。この日は、沖縄の風習「ムーチー(鬼餅)」の日です。長寿源の薬草園でも、季節の行事を大切にしたくて、社員みんなにムーチーを振る舞いました。蒸気と月桃の香りに包まれた、そんな一日の記録です。

ムーチー作りは薬草園の月桃を採取するところから

ムーチーを作るために薬草園の月桃を採取した。長寿源の薬草園にある月桃(サンニン)です。
長寿源の薬草園にある月桃(サンニン)

朝、薬草園を歩いて月桃(サンニン)の葉を採取しました。月桃は沖縄では身近な植物で、葉をちぎると、ふわっと清涼感のある香りが立ちます。ムーチーの魅力は、この月桃の香りが餅に移って、食べた瞬間に「沖縄の冬」を思い出させてくれるところ。畑で葉を集めているだけなのに、もう行事が始まっているような気持ちになります。

ムーチーを社員全員分、仕込む

月桃で包んだムーチーを社員全員分を仕込む
月桃で包んだムーチーを社員全員分を仕込む

採取した月桃の葉は、さっと洗って水気を切り、包みやすい大きさに整えます。今日は社員全員の分。数が増えるほど単純作業になりますが、不思議と心が落ち着いていきます。葉を広げ、餅生地をのせ、くるっと包んで結ぶ。結び目が揃うと気持ちがいい。手が動くたびに、月桃の香りが台所に満ちていきました。

ムーチーは3種類:黒糖・白餅・紅芋

今回作ったのは、黒糖、白餅、紅芋の3種類です。

  • 黒糖:コクのある甘さで、ミネラル豊富で昔ながらの安心感
  • 白餅:シンプルだからこそ月桃の香りが際立つ
  • 紅芋:紫色が華やかで、甘さが際立つ

蒸し上がって葉を開いた瞬間の香りは、毎回小さな感動があります。「どれから食べようかな」と選ぶ時間も含めて、ムーチーは行事の楽しさそのものですね。

そもそもムーチー(鬼餅)とは?

ムーチーは、旧暦12月8日ごろに作って食べる沖縄の餅菓子で、地域によっては「ムーチーの日」として親しまれています。名前に「鬼」が付くのは、鬼にまつわる昔話が由来とされ、厄を遠ざけ、子どもの健やかな成長を願う意味合いがあります。

また、月桃の葉で包むのも特徴です。月桃の香りとともに、包むことで乾燥を防ぎ、持ち運びもしやすい。昔の知恵がそのまま形になったような食文化だと感じます。家庭や職場でムーチーを分け合うのは、「一年を無事に過ごせますように」という願いを、みんなで共有する行為でもあります。

ムーチーの由来:鬼の兄と妹の物語

昔、首里(しゅり)から大里(おおざと)へ移り住んだ兄が、夜な夜な家畜や人間を襲って食べる「鬼」になってしまいました。

それを知った妹は、悲しみながらも村人のために兄を退治することを決意します。妹は兄を誘い出し、景色の良い崖の上で餅を食べることを提案しました。

  1. 鉄入りの餅: 妹は、自分用には普通の餅を、兄(鬼)用には中に鉄石(または焼けた石)を入れた餅を用意しました。
  2. 力比べ: 二人が餅を食べている際、妹は平然と餅を平らげますが、兄は硬い鉄入りの餅に苦戦します。
  3. 鬼退治: 驚く兄に対して、妹はさらに着物の裾をまくり上げて自分の体を見せ、「私は下に口が2つある(当時の着物の構造や勇気の象徴とも言われます)」と威嚇しました。兄が怯んだ隙に、妹は兄を崖から突き落として退治したといわれています。

この鬼を退治した日が旧暦の12月8日だったことから、厄払いや健康祈願のために餅を食べる習慣が広まりました。

ムーチーの作り方

ムーチーの作り方:蒸し器に入れて仕上がったムーチー
蒸し器に入れて仕上がったムーチー

もしかしたら、この記事を読んで、家でもムーチーを作りたくなった人もいると思いますので、初心者でもできるムーチーの基本的な作り方をお教えします。

材料(目安)

  • もち粉(または白玉粉):適量
  • 水:粉の様子を見ながら少しずつ
  • 砂糖:好みで
  • 純黒糖(黒糖味にする場合)
  • 紅芋の粉(紅芋味にする場合)
  • 月桃の葉:包める枚数分
  • 葉を結べる紐(たこ糸またはビニール紐)

手順

  1. 月桃の葉を洗い、水気を拭いておく
  2. 粉に水を少しずつ加え、耳たぶくらいの固さにこねる
  3. 味を分ける(黒糖を練り込む/白餅はそのまま/紅芋を混ぜる)
  4. 月桃の葉にオリーブ油を塗る(食べるときに餅が剥がれやすくなる)
  5. 生地を小分けにして丸め、月桃の葉にのせて包み、紐で結ぶ
  6. 蒸し器でしっかり蒸す(中心まで火が通るまで:約15分ほど)
  7. 粗熱をとって完成。葉を開いた瞬間の香りを楽しむ

ポイントは「水を入れすぎないこと」。ゆるいと包みにくく、蒸したときに形が崩れやすいので、少し固めを意識すると作りやすいです。

月桃の葉を上手に使うコツ
月桃の葉は硬さがあるので、包む前に軽くしならせると割れにくくなります。冬場は葉が乾きやすいので、洗った後に乾かしすぎないのもポイント。もし葉が小さめなら、2枚を重ねて包むと香りも増して、見た目もきれいに仕上がります。蒸し上がったあと、葉の表面につく水滴もまた季節の雰囲気があります。食べる直前に葉を開くと、月桃の香りが一番とふくらみます。

ムーチーは“食べて健康を願う”行事

ムーチーは薬の代わりではありません。でも、行事として食べること自体に、健康づくりの力があると思っています。冬は体調を崩しやすい季節。そんな時期に、家族や仲間と温かいものを囲み、「今年も元気でいようね」と声をかけ合う。これは立派な健康習慣です。

さらに、月桃の香りは気持ちをゆるめてくれます。忙しい日々の中で、手仕事に集中し、蒸気の匂いを吸い込み、笑いながら食べる。体だけでなく心も整う。ムーチーには、そういう“暮らしの養生”が詰まっていると感じました。

みんなでムーチーを食べる、穏やかな時間

みんなでムーチーを食べる、穏やかな時間。計80個をつくった。
みんなでムーチーを食べる、穏やかな時間。計80個をつくった!

配ったムーチーを、社員みんなで一緒に食べました。黙々と食べる人、味の違いを比べる人、「月桃の香りがいいね」と言う人。派手なイベントではないのに、職場の空気が少しやわらかくなる。こういう時間があると、次の仕事にも前向きになれます。

加えて、黒糖は午後の甘い休憩にぴったり、白餅はお茶と合わせやすく、紅芋は見た目で笑顔が増える。そんな小さな違いが、職場の会話のきっかけになりました。

来年もまた、月桃の香りに包まれながら、手を動かし、健康を祈る一日にしたいです。季節の節目を祝うと心が整います。

まとめ

1月26日のムーチーの日、薬草園の月桃の葉を採取し、黒糖・白餅・紅芋の3種類を社員全員分作って振る舞いました。ムーチーは沖縄の冬の風習で、厄除けや成長祈願、そして一年の健康を願う行事食。月桃の香りと手仕事の時間が、心を落ち着かせ、みんなの会話を増やしてくれました。これからも、季節の風習を大切にしながら、日々の健康と穏やかな職場づくりにつなげていきたいと思います。